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2018/12
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お題:ナルシスト
「ごきげんよう」

屋上でひとり寝ころんで時間を潰していると、視界の端からおさげが割り込んできた。
長さの合っていないマフラーが鼻の頭をくすぐる。あまりにも絶妙な配置に悪意を感じる。

「ここに何の用だ」
「それは私が聞きたいんだけども。風紀委員長として」

眼鏡の奥で大きな瞳がギラリと光る。
お互いに望まない邂逅が増えたせいか、最近は特に肉食獣の表情が様になりつつある。
無論、そこに相手を震え上がらせる気迫がこもっているかどうかは別の話しだ。

「あーあ、せっかく休憩してたのに。『婦長』のせいで邪魔されちった」
「誰が『ふちょう』だ! 私は風紀委員長だ!」
「それを略せば」
「役職を略すな!」

苛立たし気に覗き込む顔を手で退けて、勢いよく跳ね起きる。
そして右足を基軸にして軽やかに婦長の後ろに回り込んで抱きこんだ。
予想していなかったであろう不意打ちに、腕の中で婦長がびくりとはねた。

「婦長は相変わらず不用心だよな。俺だから抱きしめるだけ済んだものの」

蛇に喉を噛まれたネズミのように、婦長は抵抗することなく内側に収まる。
年齢のわりには小さな頭を撫でると、シャンプーの香りがふわりとひろがった。

「よかったわね、私がか弱い美少女で。体育委員長だったら締め落とされてるところよ」
「叱るつもりなんかないクセによく言う。俺のことが好きだからいつも来てんだろ」

マフラーの半分を借りて首に巻く。風の少ない冬の空では雲がゆっくりと流れていった。
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aono◆Memo/g4n8M

Author:aono◆Memo/g4n8M
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