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2017/09
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女「あっちむいてー……ほい!」 扇風機「ぶおーー」キョロキョロ

女「ぐぬぬ。なかなか勝たせてくれないイジワルさんめ」
女「もう一回勝負だよ。あっちむいてー……」

女「ほい!」

扇風機「ぶおーー」キョロキョロ

男「……なにしてんの?」

女「あっち向いてほい」

男「そうか……」

女「男のその目嫌い。絶対に馬鹿にしてるでしょ」

男「するだろ。するに決まってるじゃん。しない理由がないじゃん」

女「はぁ……男は大人になってしまったんだね」

男「あ?」

女「私が本気になって扇風機に相手してもらってるなんて思った?」

男「おう。思ったぞ」

女「かの有名な哲学者『ジャンジャック・ルソー』は言いました」

男「ジャンジャックルソー。ほう」

女「『社会秩序は神聖な権利であり、他のあらゆる権利の基礎として作用する。』」

男「……」

女「……」

男「え?」

女「分からない?」

男「ちょっとうまく」

女「じゃあ続きを言うね」

女「『ところが、この権利は自然から出てくるものではなく、』」
女「『したがって、いくつかの約束に基づくものである。』と、ね」

男「……」

女「……」

男「え?」

女「ん? これでもダメ?」

男「つまり、どういうことだ?」

女「『社会契約論』だよ」

男「お、おう……」

女「え? まさか男さんはご存じない?」
女「高校の教科書にも出てるほど超ちょうチョウ有名な哲学者」
女「じぇーじゃっくるそーさんをご存知ではないと?」

男「なんかすっげえむかつく」

女「えー、マジー? 夏休みを機に勉強しちゃえばー?」
女「同じ学校の制服なのに運動部と違って根暗が溢れちゃう男にぴったりな科目だよ?」

男「……あぁ?」

女「ほへんひゃい! ほへんひゃひゃい! ほんほひほんほひほへんひゃい!!」

男「少なくともテストでお前よりもいい点数は取ってっからな」

女「ほっぺ……痛かった……いたい……」

男「毎回抓られてるんだから、ちったあ学習しろ」

女「ちょっと知的ぶるとすぐこれなんだか――ごめんなさい! つねらないで!」

男「ったく。懲りねーな。いちいち相手にするのも疲れるってのに」

女「はー、怖かった。オレンジジュース貰うね」

男「真面目な話、お前そろそろ落ち着いた方がいいぞ」
男「どうせクラスでもそんな意味わかんないことしてんだろ」

女「してるけど、みんな私のことをかまってくれるいい人だから大丈夫」

男「すっげえ心配だわ。注意される前に直しとけよ」
男「早いうちに年相応の行動を心がけられるようになってくれ」

女「んー、気が向いたらね」

男「……んじゃ、勉強するか」

女「えー、まだ早いよ。もっとうだうだダラダラごろごろしたーい」

男「それで去年の夏休みに課題の提出が遅れたのは誰だったっけなあ?」

女「おふぅ……その顔で近づかれると威圧感が……」

男「ほら、そこに座れ」

女「……ふふふ」

男「どした?」

女「残念でした。宿題をさせられるだろうと予想して」
女「実は全部家に置いてきているのですよ」

男「こいつ……」

女「残念でしたー。握るペンもない私は布団でぐだぐだする他の無いのです」
女「この布団すっごい気持ちいい! すっごいふわふわ! 絶対に寝苦しいよね!」

男「だー! お前は何しに来てんだよ!」

女「えー? それ女の子の口から言わせちゃうのー? ないわー」
女「お寿司屋さんで最初の一皿目に大トロを頼んじゃうくらいないわー」

男「あー、もう分かった! 好きにしてるがいいさ!」
男「ただし何があってもその布団から降りるんじゃねえぞ!」

女「え……それって……お、おとこってだいたーん! きゃー!」

男「おっめえ、二度とこの部屋に入れてやんねえからな」

女「ほーら、男は勉強しないと。高校生の短い夏は三ヶ月分しかないんだぞお?」

男「よくそれを俺に言えたな」

女「私は勉強よりも大事なことで大忙しだから罷免されるのー」

男「罷免じゃなくて免除な。高校退学させられてっぞ。いや、免除もねえけど」
男「ってか、本当に宿題しようぜ」

女「私は元来から人に与えられている自由な意思決定権に基づいて行動しているの」

男「なにそれ。哲学?」

女「私の権利は誰にも脅かされることはないです。それがたとえ男であろうとも!」

男「カントは言いました。怠惰は自由ではないと」

女「うぐっ」

男「人間的理性の命令に従うことこそが『自由の本質』であると」

女「し、しかーし人は人間であると同時に動物でもあるのでした!」
女「本能万歳! 三大欲求万歳!」

男「お前……その逃げ道で後悔しないのか……」

女「男の難しい話しを聞くよりもよっぽど有意義ですー。べー」

男「博識ぶって先にルソーを持ち出したのはお前だろ」

女「はっ! そうっ! ルソー! 私の味方、ルソー!」

男「『社会秩序は神聖な権利であり、他のあらゆる権利の基礎として作用する。』」

女「あー、もう眠い。寝よねよ。クーラーの温度は低めで風向きは私に向けといてね」

男「こいつ……」

女「そうだ。いくら仲良しの女の子が寝てるからって……んふ」

男「寝ろ。さっさと寝ろ。俺に勉強させろ」

女「……」

男「……なんだよ」

女「……んふ」

男「さっさと寝ろやああぁっ!!」

――――――
――――
――

男「……」

男「…………」

男「………………ん?」

男「……そっか……うん」

男「…………おわりか」

男「あぁー……休憩ー……」

男「疲れるわ。何時間だ? ……まだ三時か」

男「……で、あいつは?」

女「…………んぅ」

男「ったく。希望通りの温度で冷房入れてやってるのに布団かけやがって」
男「おーい。勉強終わったぞ」

女「んん…………すぅ」

男「……」ツンツン

女「ん……」モゾ

男「やわっけえ頬してんな」ムニムニ
男「本当に同じ生き物かよ。主成分ぜってーちげーよ」プニプニ

男「…………」モニュモニュ

女「すぅー……すぅー……」

男「はぁー……これ、拷問だわ」

女「……むにゃむにゃ……にへへー……」

男「…………起きんなよ」

――――――
――――
――

女「んんーっ」

男「ようやく起きたか」

女「ふわぁー……いまなんひー?」

男「六時。夕方」

女「だいぶ寝ちゃってたね。せっかくおとこのいえにきはほひ-……ふぁぁ」

男「そうか。うるさい口が黙っててくれたおかげでこっちは随分と捗ったぞ」

女「一科目は終わった?」

男「現国だけ終わらせた。ただ書くだけで簡単だったぞ」

女「じゃあ明日それしよっかな。んー、よく寝た」

男「夏休みの初日からその調子だと後半で後悔するかもな」

女「考え方。夏休み前までの疲れを初日で全部癒したの」

男「考え方っていうか、ただの方便じゃねーか」

女「おとこは勉強ばかりしてるから考え方が広かったとしても細いんだよ」

男「細いってなんだよ」

女「新幹線みたいなもの」

男「なんだそれ」

女「さて、たっぷり寝て頭もすっきりしたから帰ろうかな」

男「……なあ」

女「ん?」

男「明日はどうすんだ?」

女「どうしよっか?」

男「俺はどっちでもいいけど」

女「えー? 二度とこの部屋に入れてやんねえって息巻いてたのにぃ?」

男「息巻いてはいねえだろ。誇張すんな」

女「明日来てもどうせほっぺ抓られるだけだしなあ」

男「お前が勉強道具をしっかり持ってくれば、んなことしねえよ」

女「ぷにぷにで気持ちいいでしょ」

男「そうだな。そこだけは認める」

女「たぶん男が毎日もみほぐしてくれるからだよね」

男「べつにそれが目的じゃねえよ」

女「目的かもよ?」

男「だからちげえって」

女「ううん。男じゃなくて」

男「……ばっか。そうやってからかうなって」

女「なーんちゃっ――ごめんなさい! ごめんなさい!」

男「明日こそちゃんと勉強しろよ。夏休み中なら面倒見てやっから」

女「分かった。……と、もう一つお願いがあるんだけどいい?」

男「内容による」

女「今日終わった分のところ貸してほすぃーなあ」

男「国語くらい自分でやれ」

女「けっちー。寝てる生娘のほっぺにちゅーしたくせに」

男「……」

女「へーたれ。キス好きへたれー。させて損した。ちゅー返せー」

男「…………」

女「へ、なに。その顔……ちょ、ちょっと。ち、違うじゃん」
女「や。その……今のは……ごめんね……だから、ね?」
女「出来心ってあるじゃん。今じゃん、だから免罪にし――」

女「ふひゃああああああっ」



おわり
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